もちろん、日本人の女性指揮者もいます。西本智実は、ロシアと日本を
中心に活動し、特にロシア国内では数々のオーケストラや歌劇場で指揮
し、これまでにロシア・ボリショイ交響楽団ミレニウムの主席指揮者、チ
ャイコフスキー記念財団ロシア交響楽団の芸術監督、主席指揮者を務める
など、着実に活動の場を広げてきました。日本国内でも、ロシアのオーケ
ストラの来日公演のみならず、新日本フィル、東京フィル、日本フィル、
オーケストラ・アンサンブル金沢など、主要なオーケストラを振っていま
す。前述のヤングよりさらに10歳ほど若く、これからの飛躍が大いに期待
されます。
アメリカに目を向けると、ローカルオーケストラを率いる女性は数名い
ますが、いわゆるメジャーと言われる大規模なオケの音楽監督の地位にあ
るのはマリン・オールソップとジョアン・ファレッタの2人だけです。オ
ールソップはボルティモア交響楽団、ファレッタはバッファローフィルハ
ーモニーでタクトを振り、後進の指導にもあたっています。
21世紀の今日、職業での男女差は亡くなりつつあると思われています
が、まだまだ指揮者は男性が絶対的かつ圧倒的に優位の世界。「女性は、
指揮者として必要な統率力に欠ける」とか「豊かなバストを揺らしながら
振られたら、気が散ってしょうがない」なんていう時代錯誤の発言も、特
に年配の男性オーケストラ奏者から出てくるのが現実です。しかし、女性
指揮者の数は確実に増加しており、日本人だけでも、ドイツ在住の渡辺麻
里、フィンランドを中心に活動する新田ユリ、ブザンソン国際指揮者コン
クールで女性初の優勝者となった松尾葉子、オーケストラ・アンサンブル
金沢の初代常任指揮者だった天沼祐子など、優秀な人たちがいます。女性
だから注目されるのではなく、実力と音楽性で認められたい、というのが
すべての女性指揮者の願いです。がんばれ女性指揮者! 後に続く世代の
ためにも、大いに活躍してもらいたいものです。
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