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音楽の散歩道
がんばれ! 女性指揮者
2009年5月23日

おがわ・ひろこ

小川弘子

神戸大学教育学部音楽科卒。同
大学院修士課程修了。専門はピ
アノ。歌曲、オペラアリアなど
声楽の伴奏を得意とする。97年
に渡米し教会、コミュニティー
団体などで伴奏している。

 オーケストラのチューニングが終わり、今まさ
にコンサートが始まろうという時に、舞台にさっ
そうと登場し、客席からの拍手を独り占めする指
揮者。指揮者と聞いて、みなさんは誰を想像しま
すか? 小澤征爾、カラヤン、バーンスタイン、
メータ、アバド、ラトル、ムーティ、ゲルギエフ
…、と名前を挙げていったところで、何か気づき
ませんでしたか? そうです、ここにあげたよう
な世界的に有名な指揮者は、みんな男性なので
す。では、女性指揮者はいないのかというと、ま
だまだ数は少ないですが、ちゃんといるのです。

 世界で最も活躍している女性指揮者は、オース
トラリア人のシモーネ・ヤングでしょう。まだ40
代後半という若さで、ハンブルク歌劇場音楽総監
督であり、2005年には女性としては初めてウ
ィーンフィルを指揮し、これまでにイギリスのロ
イヤルオペラ、パリのオペラ座、ニューヨークの
メトロポリタンなど、世界の主要な歌劇場やオー
ケストラでタクトを振ってきました。

 もちろん、日本人の女性指揮者もいます。西本智実は、ロシアと日本を
中心に活動し、特にロシア国内では数々のオーケストラや歌劇場で指揮
し、これまでにロシア・ボリショイ交響楽団ミレニウムの主席指揮者、チ
ャイコフスキー記念財団ロシア交響楽団の芸術監督、主席指揮者を務める
など、着実に活動の場を広げてきました。日本国内でも、ロシアのオーケ
ストラの来日公演のみならず、新日本フィル、東京フィル、日本フィル、
オーケストラ・アンサンブル金沢など、主要なオーケストラを振っていま
す。前述のヤングよりさらに10歳ほど若く、これからの飛躍が大いに期待
されます。

 アメリカに目を向けると、ローカルオーケストラを率いる女性は数名い
ますが、いわゆるメジャーと言われる大規模なオケの音楽監督の地位にあ
るのはマリン・オールソップとジョアン・ファレッタの2人だけです。オ
ールソップはボルティモア交響楽団、ファレッタはバッファローフィルハ
ーモニーでタクトを振り、後進の指導にもあたっています。

 21世紀の今日、職業での男女差は亡くなりつつあると思われています
が、まだまだ指揮者は男性が絶対的かつ圧倒的に優位の世界。「女性は、
指揮者として必要な統率力に欠ける」とか「豊かなバストを揺らしながら
振られたら、気が散ってしょうがない」なんていう時代錯誤の発言も、特
に年配の男性オーケストラ奏者から出てくるのが現実です。しかし、女性
指揮者の数は確実に増加しており、日本人だけでも、ドイツ在住の渡辺麻
里、フィンランドを中心に活動する新田ユリ、ブザンソン国際指揮者コン
クールで女性初の優勝者となった松尾葉子、オーケストラ・アンサンブル
金沢の初代常任指揮者だった天沼祐子など、優秀な人たちがいます。女性
だから注目されるのではなく、実力と音楽性で認められたい、というのが
すべての女性指揮者の願いです。がんばれ女性指揮者! 後に続く世代の
ためにも、大いに活躍してもらいたいものです。

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