う 3人の男たちと、そこに現れる不思議な雰囲気をもつ若い女性歌手が、
不器用に回り道をしながらも奮闘する姿は、時代やお国柄、文化の壁を超
えて、誰にでも共感を与えるものです。
その4人の主演俳優たちが、とてもよいのです。劇場閉鎖で職を失った
ことによって最愛の息子の親権も奪われてしまった演出家、いまひとつ冴
えないヴォードヴィリアン、自分の生き方に迷って女性の後ばかり追いか
けている照明係。この3人ともがフランスでは有名な俳優で、各々映画や
テレビ、舞台で活躍しています。「コーラス」で主役の音楽教師を演じた
ジェラール・ジュニューが、一度はやけっぱちになりながらも、立ち直っ
て自信を取り戻していく演出家役を演じています。そして、この映画の華
というべき存在の新人歌手デュースを演じたノラ・アルネゼデールは、数
百人に上る参加者のあったオーディションで選ばれた逸材です。彼女自身
がまだまだ新人であることから、その初々しさ、少しおどおどした感じ、
歌も演技も上手だけれど映画の中で次第に上達していく様、そしてもちろ
んその美しさなどが、この役にぴったりだったと監督が絶賛しています。
この映画のもうひとつのテーマとして画面でもBGMでも多用されてい
るアコーディオンの音が、パリの雰囲気を一層引き立てています。19世紀
にイタリアからフランスに持ち込まれたこの楽器は、現在に至るまで、カ
フェやストリート、ミュージックホールなどの大衆音楽の場面で大いに活
躍し、この映画では、親子の絆の象徴として最初から最後まで重要な役割
を果しています。
ハリウッド映画の超大作のような大音響、思わず目をふさぎたくなるよ
うな暴力的な場面はほとんどなく、大人も子供も同時に楽しめ、なんと言
っても音楽満載の映画です。あまり上映館は多くありませんので、新聞や
インターネットで劇場や上映時間を確認してからお出かけ下さい。
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