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LTSC:日系高齢者を支援
「話を聞いてくれる人がいる」

日系ともだちプログラム
生活意欲の回復を援助

2009年2月28日

 非営利社会福祉団体「リトル東京サービスセンター」(LTSC)に
は、精神的、身体的な理由で社会から孤立、または自宅にこもりがちで友
だちとの交流がほとんどなくなってしまった日系高齢者を支援する「日系
ともだちプログラム」がある。トレーニングを受けた傾聴ボランティア
が、家庭訪問や電話コンタクトを通じ、1時間から2時間ほど利用者の話
し相手になり、高齢者の生活意欲の回復を援助。社会的に孤立している高
齢者への早期介入を目指し、問題の深刻化を防いでいる。

 「生活上の不安や愚痴、昔の思い出話や戦争中のことなど、何でも聞い
てくれる。この忙しい世の中、親身になって人の愚痴を聞いてくれる人な
んて他にいないので、とてもありがたい」―。週に1度同プログラムを利
用する小東京在住の男性(76)は、親身に話を聞いてくれるボランティア
に感謝している。

 男性は約2年前、日頃感じている心配ごとや心理的圧力をどうにか軽減
したいと心理療法士を探していたところ、LTSCに同プログラムを紹介
された。「プロではないのでやり方は異なるが、話をすることで心が軽く
なりとても助かっている」。傾聴ボランティアとは電話でのコンタクトだ
が、「心から話ができる」として、毎週楽しみにしているという。

 一方、ハシエンダハイツ在住のメイさんの母、みつのさん(91)は2年
半前、自宅で転倒し頭部を強打、1年間昏睡状態に陥った。奇跡的にも昨
年から意識が戻りはじめたため、メイさんは、「日本語しか話せない母に
誰か話し相手を」と、日本人の友人に尋ねたところ、同プログラムを紹介
された。

 「もちろん、セラピーやマッサージのお陰でもあるが、ボランティアが
日本語で話しかけ、キリスト教徒の母に聖書を読んでくれ、歌を歌ってく
れるようになって、母がみるみる元気になるのが分かった。まだ自分から
話はできないが、ボランティアの問いかけに返事をするようにもなった」
という。「家族は皆働いており、病院に行ける時間が限られてしまうの
で、このように定期的に毎週来てくださるボランティアがいるのはとても
心強い」と、同プログラムに感謝している。

 LTSCは、「日系高齢者の多くは日本語しか話せないために、既存の
福祉サービスを受けられない上、家族以外から援助を求めることを恥とす
る日本の伝統的な考え方などが社会福祉サービス利用の妨げになってい
る」と、日系社会における福祉サービスの重要性を強調。問題の深刻化を
未然に防ぐため、約7年前、同プログラムを発足した。以来、多くの高齢
者がボランティアの「傾聴精神」により孤独感を克服、生活意欲を回復し
ている。

 LTSCでは、プログラムに興味のある55歳以上の日本人または日系ア
メリカ人に利用を呼び掛けている。サービス範囲はロサンゼルス郡全域と
オレンジ郡北部で、介護業務や身体的援助、また家事や買い物、外食、カ
ウンセリングなどはサービスに含まれない。

 詳細および申し込みは、LTSC「日系ともだちプログラム」まで、電
話213・473・3035。

 

芙美子さん、グラントさん:
「誠意を持って話を聞く」
傾聴ボランティア

 芙美子・シェイドさん(64)とグラント・坂本さん(77)は、7年前の
発足当時から傾聴ボランティアを続けている。

 「リタイア後は人のために役立ちたいと思ったのが、ボランティアを始
めるきっかけ」と、振り返るのは芙美子さん。トレーニング終了後にソー
シャルワーカーと初めて訪れた利用者宅では、会話に困ることもあった。
話を聞くことから始めようと誠意を持って聞くと、利用者の趣味や興味が
分かり、次のアポイントまでにその分野について勉強。「その話をする
と、利用者の目が輝くのが分かるんですよ」

 一番嬉しいのは、「利用者が喜んでくれること」。帰り際に「ありがと
う」と涙を見せられた時もあった。社会から孤立していた利用者と友情を
育んだ。7年間を通じ、いろいろな生き方を学んだと同時に、自分の行く
末を現実的にとらえることもできた。ボランティアのお陰で、常に穏やか
な気持ちでいられ、思いやりの精神も増した。芙美子さんは、「人の役に
立ちたいと始めたが、実は自分のためになっていると分かった」と振り返
る。

 妻をがんで亡くし、10年前にリタイアしてから、「1人で何をしていい
のか分からず、ボランティアを始めようと思った」と話すのは、帰米2世
のグラント・坂本さん。

 傾聴ボランティアを始め、「世の中との接触が途切れている人が意外に
も多いことに驚いた」といい、中には、「世の中が信じられない、自殺し
たい」と、閉じこもりがちな人もいた。そんな利用者にグラントさんは、
「自殺するな」と言うのではなく、「他にもやることがたくさんあるよ」
と優しく問いかけ続けた。結果、「私を信頼し、友だちになれたことによ
って、生きることを決意してくれた」。今では外出もできるようになった
という。

 「大切なのは、利用者の意思を尊重すること」。自分の意見を言う前
に、利用者の話を聞くことを心がけている。このボランティアを通じグラ
ントさんは、「人と和やかに過ごすことを学んだ」。

 1月に行われたトレーニングには、各地から老若男女約20人が集まった。

 ベニス在住の千代さん(33)は、1年間にわたり末期がんの祖母を介
護。自宅で最期を看取った経験を通じ、「愛情、人の命、家族を持つ大切
さを学び、人や地球の役に立つことをしたい」と傾聴ボランティアを決
意。トレーニングを受け、「助けを必要としている人が多いことに気づか
された」といい、ボランティア活動を前に、「いろいろな方にお会いし
て、1人でも多くの人が少しでも楽しい人生を送ることができれば」と、
これからに期待を寄せた。【取材=中村良子】

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