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日本酒のうまさに迫る
米国での消費は年々増加
2006年8月12日

 米国で日本酒の消費量が年々増えている。「サケ」という言葉が米国で
市民権を得てからすでに久しく、日本食ブームや健康志向の高まりの中、
ここ数年は年間消費量が8—14%伸びた。だが、米国で消費される全ア
ルコール飲料のうち、日本酒が占める割り合いはまだわずか1%。しか
も、消費はカリフォルニア州はじめ、アリゾナ、フロリダ、ジョージア、
ハワイ、イリノイ、ネバダ、ニュージャージー、ニューヨーク、ワシント
ンなどの州に集中しており、他の州での普及はこれからというのが現状。
普及にはもち論、日本酒の魅力をアピールすることが最も効果的だが、毎
年ブリュッセルで開かれる国際酒類コンテスト「モンド・セレクション」
で、自社製品の純米大吟醸「無」が8年連続優勝した日本酒製造会社「八
重垣酒造」(本社・兵庫県、長谷川雄三社長)のロサンゼルス米現地法人
「ヤヱガキ・コーポレーション・オブ・USA」を訪ね、おいしい酒の醸
造法などを聞いた。

sake

仕込みタンクで眠ること3週間。発酵の速度を調節
するため、タンク内は57—61度に保たれている

品質にこだわる「八重垣」
本社の杜氏が酒蔵回る

 米国には現在、日本から五社の日本酒製造会社が進出している。「松竹
梅」「大関」「月桂冠」「百川」、そして八重垣の5社だ。

sake

1時間半ほどかけて蒸したコメを
かき集め、水蒸気を抜くためにド
ライヤーに移動させる

 八重垣は兵庫県が本社で、創業は1666
年と、日本の酒製造業者の中でも老舗中の老
舗。米国には1987年に進出し、現在ロサ
ンゼルス・ダウンタウン南のバーノン市に現
地法人を構える。製造している日本酒は昨
年、50万7000ガロンに上った。ボトル
にして255万6千本に相当する。

 酒の醸造で最も大切なものは、水、コメ、
杜氏、気候、そして酵母の五つ。八重垣の工
場は週7日稼働で、杜氏を務めるのは、北海
道出身の女性、ウェイド麗子さん。毎日早朝
から、醸造を指揮している。

 醸造の工程はまず、コメを蒸すことから始まる。八重垣ではサクラメン
トから送られてくる「カルローズ米」を使用。よく水洗いしてから1日置
き、それを大型のポットに入れて1時間半から2時間蒸す。その後、コン
ベア上で冷ますとともに乾燥させて、仕込み室のタンクへ。

sake

蒸したコメに麹菌を混ぜて麹を作っているところ

 コメには酵母と麹が加えら
れ、「酒母」とよばれる酒の母
体を作る。酒母が仕込み室のタ
ンクの中で眠る間、杜氏がこま
めに酒母の状態をチェックし、
水を加えたり、麹を加えたり。
この時点で生じる泡の具合や香
を見ながらの勝負だ。それと、
室温と酸味が重要な決め手とな
る。この段階に要する期間は約
3週間。ここで酒の善し悪しの
大半が決まるといっても過言で
はない。

 その後、圧搾され、火入れ室
で低温殺菌されて、ろ過室で酒
粕を取り除いた後、最後の段階
である貯蔵室へ送られ、タンク
の中で熟成を待つ。ここで数週
間。まろやかさとこくがでたと
ころで、全米に向けての出荷の
ため箱詰めにされる。

 米国に反して、酒の消費量が
年々減っている日本では、杜氏
や酒蔵の数も減っており、その
分、機械による醸造が増えてき
た。そんな中、あくまでも伝統
の醸造法にこだわる八重垣で
は、日本国内の八重垣の酒蔵へ
定期的に杜氏を派遣し、品質の
維持と技術の向上に努めてい
る。先日も本社の杜氏、田中博
和氏(63)が、品質チェック
のためロサンゼルスを訪問した。

 田中氏は「酒作りは、子供を
育てるようなもの。1日24時
間、週7日、最新の注意を払う
必要がある」と強調。「杜氏の
感情も酒の味に影響する。チー
ムワークも重要。でも、そうし
た努力がむくわれ、美味しい酒
ができた時は本当にうれし
い」。酒造りに掛けるそうした
思いを、今夜はじっくり味わい
たいものだ。(奈緒、写真=マ
リオ・レエス)

sake

貯蔵室のタンク。この中で避けの熟成を待つ
sake

熟成された酒は箱に詰められ、米国各地の日
本食レストランに出荷される
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