コメには酵母と麹が加えら
れ、「酒母」とよばれる酒の母
体を作る。酒母が仕込み室のタ
ンクの中で眠る間、杜氏がこま
めに酒母の状態をチェックし、
水を加えたり、麹を加えたり。
この時点で生じる泡の具合や香
を見ながらの勝負だ。それと、
室温と酸味が重要な決め手とな
る。この段階に要する期間は約
3週間。ここで酒の善し悪しの
大半が決まるといっても過言で
はない。
その後、圧搾され、火入れ室
で低温殺菌されて、ろ過室で酒
粕を取り除いた後、最後の段階
である貯蔵室へ送られ、タンク
の中で熟成を待つ。ここで数週
間。まろやかさとこくがでたと
ころで、全米に向けての出荷の
ため箱詰めにされる。
米国に反して、酒の消費量が
年々減っている日本では、杜氏
や酒蔵の数も減っており、その
分、機械による醸造が増えてき
た。そんな中、あくまでも伝統
の醸造法にこだわる八重垣で
は、日本国内の八重垣の酒蔵へ
定期的に杜氏を派遣し、品質の
維持と技術の向上に努めてい
る。先日も本社の杜氏、田中博
和氏(63)が、品質チェック
のためロサンゼルスを訪問した。
田中氏は「酒作りは、子供を
育てるようなもの。1日24時
間、週7日、最新の注意を払う
必要がある」と強調。「杜氏の
感情も酒の味に影響する。チー
ムワークも重要。でも、そうし
た努力がむくわれ、美味しい酒
ができた時は本当にうれし
い」。酒造りに掛けるそうした
思いを、今夜はじっくり味わい
たいものだ。(奈緒、写真=マ
リオ・レエス)
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